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その1 【脳内出血を患った吉田さんの場合】
──新宿区在住のヨシダさんは、当時40代半ばを過ぎてはいたものの、自分ではまだまだ若くて無理のきく、それなりの、つまり普通程度の健康体を保っているのだと思い込んでいました。

けれども、今はやりの病い、それも重篤になってしまう危険性十分の病いに倒れたことがあるのです。どんな風であったのか、とりあえず、インタビューを試みて、なにか健康維持のための参考になることを引き出してみたいと思います。


 《発見されやすいところで倒れること》
質問者 さっそくですが、ヨシダさんにお話をうかがいたいと思います。脳内出血という、聞いただけでも怖い感じがするのですが、どんな状況だったのでしょうか。

吉田 6月のことでした。私は、いつものことだったのですが、事務所で仕事をして帰途についたのが夜の11時半くらい、自宅に着いたのが12時くらいでした。直ぐに風呂に入りましたが、記憶はそこまでであとは全く覚えていないのです。その時に娘がちょうど風呂ら出てきたところで、「タァーッチ」と手を叩き合ったのを覚えています。

質問者 仕事では何か無理をされたのでしょうか。

吉田 いーや、まったくそんなことはありません。といいましょうか、実は、レポートを作成する仕事をしているものですから、いけないことなのでしょけれど、よくビールを飲みながらキーボードを叩いていたのです。出てくる文字はしっかりしているものですから(笑い)。その日は、はっきり覚えては居ませんが、結構遅くまでやっていましたので、500ミリ缶を2本くらいはやったのかな・・・。

質問者 要は、仕事をしながら飲んでおられた?。

吉田 まあ、平たく言えば、そういうことです。でも、それが習慣みたいなものだったので、その日が特にどうのということはありませんでした。

質問者 特に病気持ちというわけではないですよね。

吉田 はい!、あっ、いや、実は痛風系ではあります。それに、血圧は境界血圧、というやつで、上が140〜150、下が95くらいから105くらいだったと思いますよ。高血圧予備隊というか境界ラインと認識していました。


質問者 いや、それは十分に高血圧ではないのですか(笑い)。それに、痛風系ですと、確かビールは大敵のはずですが・・・。

吉田 そうかもしれませんね。いや、そう、ですね。

質問者 それで、そのあとは?

吉田 まあ、あとで聞いたのですが、12時40分くらいに娘が発見してくれたのです。つまり、風呂の中で倒れていたところをですが。ほんとう、マグロ状態だったらしいですね。

質問者 それで、直ぐに救急車ということですか。

吉田 そうなんです。まあー、それもすべてあとで聞いたことですが。普通、風呂に入っている時間は5分かせいぜい10分程度なものですから、なかなか出てこない私を心配してのぞきに来た、ということらしいです。

質問者 でも、ちゃんと発見してもらってラッキーといえるのではないですか。

吉田 確かに。一人で仕事をしていましたから事務所で倒れたり、道端で倒れていたら、翌日までそのまま、おそらくあの世へ直行ということでしたね。それに、偶然、娘と入れ替わりで風呂に入ったということもありますね。・・・神様はもっと生きて苦労しろ、と言いたいのでしょう(笑い)。
でも、病院は多少たらい回しになったようですよ。新宿区には大きな病院が結構あるのですが、すべてだめで駿河台の日大病院でした。三つ目の病院と言っていたと思います。病院ではバスタオルに包まれたマグロの私をCTに通して、それで一発ですね。極めてオーソドックスと言うか典型的な脳内出血でした。インターンでもわかる、単純なものですね、きっと。


 《ストレスなんかで病いにはならない》
質問者 それで、肝心の病いの内容なのですが、お差し支えなければ詳しく・・・。

吉田 全然、お差支えありませんよ(笑い)。
これが、結構、出血していたのですよ。前頭葉の思考中枢がばっちりとやられていました。おかげで「思考停止状態」に陥ったのです、・・・というのは冗談ですが。写真、例のMRIというやつで見たのですが、縦3センチ、横2センチくらいは真っ白でしたね。これじゃー、思考能力がお大幅にダウンして当然、と納得しております。もちろん、今も、です。

質問者 どうりで。いや、そっんなことはありませんよ。でも、原因は?。

吉田 それがユニークなのです。原因はないのですよ。

質問者 ないって、そんな・・・。病気にはだいだい原因というやつがあるはずでは。

吉田 それが、ないんですねー。別に威張ることじゃーありませんが。
私が先生に聞いたんですから、確かです。先生に怒られたのでよく覚えていますよ。

質問者 怒られたって?。

吉田 特に原因らしい原因が見当たらないので、先生に「ストレスでしょうかね」と聞いたんですよ。そしたら先生、なんていったと思います?。

質問者 ?。

吉田 「馬鹿なことを言っちゃーいかんですよ。この世の中、ストレスのない人なんて一人もいないのです。ストレスが原因なんていったら、みーんな脳内出血を起こしちゃいますよ。」だって。ちょっと言い方は違っていたかもしれないけれど、その時は「そーんな事を言わなくたって・・・。」と少しだけ反発心を起こしちゃいましたよ。

質問者 つまり、原因は問題なのではなく、脳内出血をおこしたのはただ、運が悪いのだと・・・、ということでしょうか。

吉田 そう思うしかないですよ、ね。本当。でも、つらつら考えてみるーってっと、いろいろあるんですよね。仕事が不規則、つまり食事も不規則、仕事をしながらお酒を飲んだり、生活全体が不規則といえば言えないこともない。それに、運動らしい運動は一切やっていない。それなのに慢性的に疲れ気味。仕事の中身も、言ってみればレポートの文章表現などというつまらない事で悩んだり、いつもすっきりしない感じが付きまとっている、って言うわけです。歌の文句じゃないけれど、『それじゃ♪♪身体いいわけないよ♪』というところです。

質問者 でも、特に身体に悪い決定的なことをしているというわけでもないし、言ってみれば、概ね、誰だってそんな生活みたいなものともいえないこともない・・・。

吉田 そうなんです。やはり、原因がない、というのが真実なんです。


 《脳内出血の行方は?》
質問者 それで、入院生活はどうでしたか。

吉田 それは、それは、もう最高でした。

質問者 はぁー?。

吉田 日大からは直ぐに別の病院(東京健生病院)へ転院したのですが、白衣の天使たちが入れ替わり立ち代り昼夜なくきめ細かい面倒を見てくれますし、食事は完全三食付きで、栄養バランスばっちりのおいしい和食定食。ただ、お酒がついていないのが難点でしたけれど。ボリュームもちょうどよかったですね。たまーに、問診があったり検査があったりはしましたが、それも退屈しのぎになりました。

質問者 頭は開かなかったのですか。

吉田 そうなんですよ。その関係で、ダメージは殆どなかったというか。

質問者 出血してもですか。その血は何処へ行っちゃうのでしょうね。

吉田 何処へ行くというか、自然に散ってしまうみたいですね。脳圧が高くなるということもなく、自然の流れに任せたという感じで、先生も一ヶ月ほど過ぎたら、「退院してもいいですよ」というのです。

質問者 それはよかったですね。

吉田 ぜんぜーん。私は、できればずーっと入院していたかったのです。前にも言いましたが、きれいどころが入れ替わり立ち代り面倒を見てくれましたし、三食昼寝付き、もちろん、ゆっくりと夜寝もついて・・・。

質問者 だめですよ。入院したい人は待っているのですよ。

吉田 はい。というわけで35日間の入院を経て退院しました。以来、通院の必要もなく、何のケアもしていません。先生もほっとしたのでしょう、ね。病院とホテルを間違えているようなん患者がいなくなって。

質問者 まったく、とんでもない患者でしたね。

吉田 はい、すみません。

質問者 脳内出血というのは、大変な病気と聞いています。ひとつ間違えれば命を落としてしまうはずですよ。本当に、よかったですね。それで、その後生活態度は変わりましたか。

吉田 残念ながら、そんなにはかわっていません。ただ、血圧については薬でコントロールし始めました。ノルバスクという薬を一日7.5ミリ服用しています。血圧についてはどうにか合格範囲のようです。

質問者 ほかには?。

吉田 そうそう。倒れた時には聞こえてはいないはずなのですが、それ以来、救急車のピーポーピーポーというあのサイレンが非常に好きになってしまいました。言って置きますが、パトカーとは違いますよ。救急車の音で『助かった』という気持ちが湧いてくるのか、心が和む感じがするのです。

質問者 (笑い)
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