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健康よもやま話 (第1話)
〜〜感謝の言葉〜〜

【楽だけど、やっぱりちょっとショック!】

 山手線といえば、花の大東京を大きく巡り巡って人々の身体と想いを運んでくれる環状線(感情?せん)です。例によって最寄の新宿駅から乗り込みました。何の理由もなく、シルバーシートの前に立っていた、と思ってください。結構込んでいたので座ろうなどという気持ちは鼻からありませんでした。シルバーシートに若い人が座っていようが、どうであろうがそんなことは大東京では問題にはならないこと、です。ヤンキー風情の高校生が堂々と足をシートまで持ち上げて携帯片手にしゃべりこんでいる姿は日常のことですから。ところが、『どうぞ』という若くてきれいな女性の声が聞こえたかと思うと、そのときに気がついたのですが・・・美形が一人私の目の前に立ったかとおもうと、スタスタとあらぬ方向に歩いていってしまいました。『えっ?』『????』・・・だれに・・・ったって、どう見ても私に譲ったのです。
  その結果、『楽』でした。けれど、それ以上に、ショックでした。私は、何を隠そう花の団塊世代、これからという年代だと、自分では思い込んでいますし、人に席を譲るほうだと思っているのですから。でも、『楽』でした。

【粋な高齢紳士が・・・! 】

 そんな、かんなで座っていると、程なく駅に着きました。私はまだ座っていました。すると、サーっと目の前を粋なスーツ姿で帽子をかぶった紳士が右から左へ、一人通り過ぎました。ショック覚めやらぬ気持ちで余り外界の風景に心をとらわれる状態ではなかったのかもしれません。すると「どーぞ」とさわやかな青年の声が今度は左側から聞こえてきました。青年の声をまったく期待していなかったと思われるその高齢紳士は、その青年に誘われるように軽―く腕をとられて、席に座ったのです。そして青年はさっと斜め前方に立ったのです。紳士と青年の距離は3メートル以上はあったかと見られます。

【どうしても、感謝の言葉を! 】

 しばらくして駅を二つくらい過ぎとおりました。すると、池袋というターミナルステーションに着いたのです。結構込み合ってはいましたが、青年は当然のごとく目立つこともなく出口から降りようとした、そのときでした。先の高齢で粋な帽子の紳士の手が私の前をスーと伸びてきたのです。そして、私の左側に立っていた青年の袖を軽く突っつきました。「ありがとう!」

【素直に言おうよ! 】

 先の粋なスーツ姿の防止の紳士は席を譲ってもらってから、ずーと思っていたのかもしれません。『ありがとうって言いたい。』・・・と。けれども、その感謝の言葉というものは、意外とタイミングが狂うと、難しくなってしまうようです。そして、電車を降りていってしまい、一生もう二度と会うこともないであろうこの青年に『ありがとう』というチャンスは絶対に巡ってこないと確信したのだと思います。感謝の気持ちは、ただ思っているだけでは心が苦しくなることもあるのでしょう。どうしても、『言いたい』ものなのです。たとえその青年がぜんぜん感謝の言葉を期待してはいなかったとしてもです。
  ところで、私はさっきの美形にちゃんとお礼を言ったかな・・・?。